大雪山トレイルジャーニー2026 開催報告
2026年7月26日(日)、北大雪スキー場とその周辺山域にて「大雪山トレイルジャーニー2026」を開催しました。前年の380名を大きく上回る505名のランナーにエントリーいただき、大きな事故や怪我なく全日程を終えることができました。
2025年は雨の影響で山岳パートを実施できませんでしたが、今年は冷涼な気温と穏やかな風に恵まれ、予定していたルートで全種目を実施できました。ご参加いただいたランナーの皆様、そして大会を支えてくださったすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
大会概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年7月26日(日) |
| 種目 | トレイルランニング(山岳マラソン) |
| カテゴリー | 60km/40km/15km |
| 会場 | 北大雪スキー場 およびその周辺山域 |
| 主催 | 大雪山トレイルジャーニー実行委員会 |
| 企画 | EZO TRAIL |
参加者数と完走率
| 種目 | 登録 | 出走 | 完走 | 完走率 |
|---|---|---|---|---|
| 60km | 139 | 128 | 113 | 88.3% |
| 40km | 229 | 209 | 202 | 96.7% |
| 15km | 137 | 126 | 126 | 100.0% |
| 全体 | 505 | 463 | 441 | 95.2% |
日本全国に加え、スペイン、台湾、韓国、オランダ、フランス、フィリピン、英国、香港など多くの国・地域のランナーが参加・出走しました。実行委員会主催のバスツアーには29名が参加し、遠方や海外からの参加のハードルの下げる取り組みとなりました。
「走る、楽しむ」だけでなく「知り、学ぶ」大会へ
大雪山トレイルジャーニーのコースは、国立公園の特別保護区という、日本で最も自然保護の要請が厳しいエリアを通ります(主に歩行区間エリア)。私たちはこの条件を制約ではなく、大会の価値そのものとあらためて位置づけました。今年は「サステナブルパートナー」として株式会社小鍛冶組様にご協力いただき、自然環境を知り、学ぶための企画を大会の中に組み込みました。
環境ムービーと宣誓書(新規)
大雪山の高山植生の希少性、登山道を外れて走ることの影響、ストックキャップの必要性、動植物との共生、歩行が植物に与える影響をまとめた動画を制作しました。この動画を視聴し、宣誓書を提出しなければゼッケンを受け取れない仕組みとしたことで、視聴率は98.0%に達しました。
歩行区間の設定
特に自然保護を求められるエリアの特別保護区を「歩行区間」とし、通過時間を一律40分としてレースタイムに算入しました。タイムを競う必要がないため、ランナーは足元の植物や景色を観察しながら通過できます。参加者からは「ご褒美タイム」といった声が寄せられ、コマクサの群落に触れた回答もありました。
登山道モニタリング(事前・事後)
環境省の指示に基づく植生調査の一環として、大会前後に登山道のモニタリングを実施しました。ランナーや一般の方にもご参加いただき(計7名)、大会がコースに与えた影響を実測しています。モニタリング結果は大学研究機関とも連携し、中長期的に登山道のモニタリングを行なっていくことになっています。
ランナークリーンアップ
コース上のゴミを拾い、拾った方にQUOカードを贈呈する企画を実施しました。「コース上に拾うゴミが見当たらないほど良い環境だった」との報告もあり、コース上の状態は良好に保たれる取り組みとなりました。
地域とつながる会場づくり
ゴールエリアには、地域の事業者を中心とした出店ブースを設けました。中富良野のクラフトビール、遠軽町白滝の牧場牛乳を使ったソフトクリーム、白滝の地元団体によるうどん・そば、遠軽町の特産品(ジビエジンギスカン、赤ワイン、じゃがいも)など、走り終えたあとも楽しめる会場となりました。ツアー参加者からは、夕食の場でボランティアと交流できたことを評価する声もいただいています。
ランナーアンケート結果
大会終了後のアンケートには197件の回答をいただきました(出走者463名に対し回答率約43%)。
満足度
- 総合満足度:5段階平均4.66(96%が「4以上」)
- NPS<推奨度(友人・知人への紹介意向)>:10点満点で平均8.75(60%が9点以上)
| 評価の高かった項目 | 平均 |
|---|---|
| 制限時間 | 4.69 |
| 開催時間帯 | 4.57 |
| コース | 4.50 |
| 事前連絡 | 4.41 |
環境企画によるランナーの意識の変化
環境企画を通じて、自然環境・保全活動への関心が高まったと答えた方は71%(「4以上」)、自然環境を学ぶ機会がもっとあるとよいと答えた方は87%にのぼりました。
さらに、大会をきっかけに今後取り入れたいことを尋ねたところ、「特に変わらない」はわずか6%にとどまり、9割以上の方が何らかの行動意向を示しました。
| 今後取り入れたいこと(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 日常生活でごみを減らす、環境に配慮した行動を意識する | 62% |
| 登山道や自然エリアの清掃・ゴミ拾い活動に参加する | 54% |
| 家族や友人と自然環境について話す機会を増やす | 36% |
| 環境保全団体への寄付や支援を行う | 18% |
| SNS等で自然保護の取り組みについて発信する | 15% |
半数以上のランナーが清掃活動への参加意向を示したことは、大会が実際の保全活動への入口になりうることを示しています。次年度のモニタリング企画・クリーンアップ企画の参加者募集につなげていきます。
参加者の声
「動画視聴完了後に誓約書がダウンロードされる仕組みは、履修効果として非常に優れた方法である。丁寧に作られた動画での啓蒙は、参加者が我がこととして捉えるために有効」(60km参加者)
「いろんな大会に参加しているが、ここまでの取り組みがされている大会は初めてだった」(60km参加者)
「他のレースよりも運営全体・ボランティアの雰囲気が温かい」
「エイドで声をかけられて元気が出た」
自由記述で最も多く言及されたテーマはスタッフ・ボランティアの対応で、ほぼすべてが好意的な内容でした。平山からの稜線の景色や、笹刈りなどのコース整備に対する感謝の声も複数寄せられています。
次年度に向けて
参加者の増加にともない、運営面での課題も明らかになりました。特に要望が多かったのはトイレの増設と後半区間の給水・補給です。次年度は以下を重点課題として取り組みます。
- トイレの増設、本部エリアの照明確保、携帯トイレブースの設置
- 最終エイドへのスポーツドリンク配備と搬送方法の見直し
- 全関係者へのストックキャップ配布によるルール遵守の徹底
- 環境ムービーの英語字幕の自作(海外ランナーへ意図を正確に伝えるため)
このほか、事前情報の整理、後方ランナー分のエイド食の確保なども検討していきます。
結びに
今年はEZOTRAILとしての企画で取り組んだ初年度の大会でした。
実行委員会を立ち上げ、「地域との共生」「自然環境との共生」、そしてトレイルランニングを通じた新しい価値づくりをしていこうと取り組んでまいりました。今年はそのための様々なチャレンジを行いました。ランナーの皆様から「これがスタンダードになればいい」という声をいただけたことは、私たちにとって大きな励みです。大雪山という稀有な自然の中を走るからこそ、走ることに加えて自然を知り、学ぶ。そんなトレイルランニングの新しい形を、これからも皆様とともに育てていきます。
開催にあたりご理解・ご協力をいただきました遠軽町をはじめとする自治体の皆様、環境省・林野庁の皆様、土地所有者・関係者の皆様、協賛・協力各社の皆様、出店事業者の皆様、そしてボランティアの皆様に、改めて深く御礼申し上げます。
大雪山トレイルジャーニー実行委員会
企画:EZO TRAIL
開催報告書(PDF)
大会の詳細な結果、アンケート集計、次年度の課題一覧は、以下の開催報告書をご覧ください。